小林麻央さんの 乳がん 治療 から学ぶ。

小林久隆さんより先に 光免疫療法 を開発していた 女性研究者

1991年にはじめて
光免疫療法の論文が発表されました。

photoimmunotherapy of human ovarian carcinoma cells ex vivo.
その時の責任者(ラストオーサー)は
Tayyaba Hasanさんです。

f:id:babykazu:20180113173332j:plain


Wellman Center for Photomedicine,
Department of Dermatology,
Massachusetts General Hospital, Boston, MA, USA.
上記教室より画像引用。

光免疫療法の先駆者といえます。


彼女は
2014年のPNASの論文を最後に
Selective treatment and monitoring of disseminated cancer micrometastases in vivo using dual-function, activatable immunoconjugates.
Spring BQ, Abu-Yousif AO, Palanisami A, Rizvi I, Zheng X, Mai Z, Anbil S, Sears RB, Mensah LB, Goldschmidt R, Erdem SS, Oliva E, Hasan T.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Mar 11;111(10):E933-42.
doi: 10.1073/pnas.1319493111.

その後、
光免疫療法の論文を発表していません。

現在も
ハーバード大学で教授をしています。







2018年1月13日時点までに
131本の光免疫療法の論文が
発表されています。
(キーワードしてphotoimmunotherapy)



小林久隆さん
(現在アメリカNIH)が2011年11月に
Nature Medicineに光免疫療法の報告をしました。

Cancer cell-selective in vivo near infrared photoimmunotherapy
targeting specific membrane molecules.
Mitsunaga M, Ogawa M, Kosaka N, Rosenblum LT, Choyke PL, Kobayashi H.
Nat Med. ;17(12):1685-91.
doi: 10.1038/nm.2554.


それ以降
85本の光免疫療法の論文が出ていますが、
なんと53本の論文には
小林さんの名前が入っています。
(62%)

(◎_◎;)
すごい!



今回
2018年1月5日に発表された
新しい光免疫療法の論文は
イギリス、ポーランド、イタリアの
共同研究となっています。

アメリカが研究機関が入っていないということは
小林さんがこの論文には入っていないということです。

Near-Infrared Photoimmunotherapy Targeting EGFR -
Shedding New Light on Glioblastoma Treatment.
Burley TA, Mączyńska J, Shah A, Szopa W, Harrington KJ,
Boult JKR, Mrozek-Wilczkiewicz A, Vinci M,
Bamber JC, Kaspera W, Kramer-Marek G.

Int J Cancer. 2018 Jan 5.
doi: 10.1002/ijc.31246.



この光免疫療法の論文では
グリオブラストーマ(脳腫瘍)に対して
光免疫療法の効果を報告しています。
使っている方法や
細胞種
測定方法は
目新しいものではありません。


この論文の主旨としては
ネズミを用いて
どの程度
光免疫療法が効果を示すか
または
特異性を示すか検証しています。

結論としては
光免疫療法の有効性が
裏付けられたという事です。

アメリカ以外の他施設でも
光免疫療法の効果が
実証された論文といえます。

免疫療法の治験情報. チェックポイント阻害剤を使用した臨床試験.

従来の
がん治療は
大きく3つでした。

うつ(抗ガン剤)
あびる(放射線、重量子線など)、
きる〈外科的切除〉。

これらの
治療で効果がない、
もしくは
徐々に耐性をもったガンが増えてきた場合には
藁をもすがる思いで
高額の医療費をはらい、
オータナディブ医療(代替医療)や
怪しい治療に手を出すしか方法はありませんでした。




しかし
近年の
がん治療はものすごい勢いで進んでいます。


特に
以前は怪しいというイメージだった
免疫療法が激変しています。


国・政府も
より早く医療現場で
免疫療法を使えるよう
スピード認可して
推進しています。

免疫療法といっても
多彩な種類があります。

(光免疫療法について)
www.therapy-for-cancer.com
www.therapy-for-cancer.com




国がスピード認可している
免疫療法は
特に
チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法
です。


日本で実施されている
チェックポイント阻害剤を用いた
臨床試験状況をリストアップしました。


詳細は
JapicCTI-No 一般財団法人 日本医薬情報センター iyakuSearch 医薬品情報データベース

検索してください。


2017年11月30日現在

頭頚部ガン
JapicCTI-No. JapicCTI-173640
試験の名称 局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象に化学放射線療法と併用後に維持療法として用いたMK-3475[ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)]を化学放射線療法単独と比較する無作為化第III相試験(KEYNOTE-412)
組織名 MSD株式会社

肺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-152899
試験の名称 化学療法未治療のIV期扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に,atezolizumab(MPDL3280A,抗PD-L1抗体)とカルボプラチン + パクリタキセルの併用若しくはatezolizumabとカルボプラチン + nabパクリタキセルの併用の有効性及び安全性をカルボプラチン + nabパクリタキセルと比較する第III相非盲検多施設共同ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社

肺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-152901
試験の名称 PD-L1発現で選定された化学療法未治療のIV期非扁平上皮又は扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に,プラチナ製剤(シスプラチン若しくはカルボプラチン)とペメトレキセド又はゲムシタビンの併用療法とATEZOLIZUMAB(MPDL3280A,抗PD-L1抗体)を比較する第III相非盲検ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

肺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-152942
試験の名称 化学療法未治療のIV期非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に atezolizumab(MPDL3280A,抗PD-L1抗体)とカルボプラチン+パクリタキセル若しくはカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブの併用をカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブと比較する第III第相非盲検多施設共同ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

肺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-163144
試験の名称 IB~IIIA 期非小細胞肺癌の完全切除患者を対象に,シスプラチンをベースとする術後補助化学療法を施行した後にatezolizumab(抗PD-L1抗体)の有効性及び安全性を支持療法と比較する,第III 相非盲検ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

肺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-163197
試験の名称 化学療法歴のないIV期の非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象として,atezolizumab(MPDL3280A,抗PD-L1抗体)とカルボプラチン又はシスプラチン + ペメトレキセドの併用療法をカルボプラチン又はシスプラチン + ペメトレキセドと比較する,第III相非盲検ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

膀胱がん
JapicCTI-No. JapicCTI-142739
試験の名称 プラチナ製剤併用化学療法歴を有する局所進行又は転移性尿路上皮膀胱癌患者を対象に,ATEZOLIZUMAB(抗PD-L1抗体)の有効性及び安全性を化学療法と比較する,第III相非盲検多施設共同ランダム化試験 [IMvigor211]
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

前立腺がん
JapicCTI-No. JapicCTI-173574
試験の名称 アンドロゲン合成阻害薬治療歴を有し,かつタキサン系治療に対し治療歴を有するか,不適,あるいは拒否の転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした,アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)及びエンザルタミドの併用とエンザルタミドを比較する第III相多施設ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. Hoffmann-La Roche,Ltd.

尿路上皮ガン
JapicCTI-No. JapicCTI-153032
試験の名称 プラチナ製剤を含む治療の施行中又は施行後に進行した局所進行性、切除不能又は転移性の尿路上皮癌患者を対象とするラムシルマブ及びドセタキセル併用とプラセボ及びドセタキセル併用の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験
組織名 日本イーライリリー株式会社

尿路上皮ガン
JapicCTI-No. JapicCTI-153087
試験の名称 外科的切除術後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮癌患者を対象とした,術後補助療法としてのATEZOLIZUMAB(抗PD-L1抗体)と経過観察を比較する第III相非盲検多施設共同ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

尿路上皮がん
JapicCTI-No. JapicCTI-163427
試験の名称 プラチナ製剤併用化学療法歴を有する局所進行又は転移性尿路上皮癌患者を対象とした,アテゾリズマブの拡大治験
組織名 中外製薬株式会社

卵巣がん
JapicCTI-No. JapicCTI-173529
試験の名称 初発のステージIII期又はIV期の卵巣癌,卵管癌又は原発性腹膜癌患者を対象に,パクリタキセル,カルボプラチン及びベバシズマブとの併用下でアテゾリズマブとプラセボを比較する第III相多施設共同ランダム化試験
組織名 中外製薬株式会社 , F. ホフマン・ラ・ロシュ社

結腸ガン・直腸がん
JapicCTI-No. JapicCTI-163238
試験の名称 MSI-High又はMMR欠損の結腸・直腸癌(IV期)を対象としたMK-3475と標準化学療法を比較する第III相試験(KEYNOTE-177)
組織名 MSD株式会社

固形ガン
JapicCTI-No. JapicCTI-152935
試験の名称 表在性病変を有する固形がん患者を対象としたTBI-1401(HF10)の第1相腫瘍内反復投与試験
組織名 タカラバイオ株式会社

固形ガン
JapicCTI-No. JapicCTI-173607
試験の名称 Cobimetinibと他の抗悪性腫瘍薬の併用投与による進行固形癌患者を対象とした第I相臨床試験
組織名 中外製薬株式会社

その他
JapicCTI-No. JapicCTI-173505
試験の名称 成人の進行性悪性腫瘍患者を対象にFAZ053を単剤投与及びPDR001と併用投与する多施設共同オープンラベル用量漸増第I相試験
組織名 ノバルティス ファーマ株式会社

ガラクトース と ガン細胞 の関係に着目して 光免疫療法 に応用した最新研究

ガラクトースとは編集

グルコースと結合
単糖の一種で、
グルコースとともに
二糖類のラクトース(乳糖)を構成する。

ガラクトースへの分解は
酵素ラクターゼ
(ヒトではラクトースβ-グルコシダーゼ)によって
加水分解される。

ラクターゼ酵素を欠く人は
乳糖が分解しづらく、
乳中の糖類を栄養とすることができない。

牛乳を飲むと
お腹がゴロゴロする。
という人は
ラクターゼの活性化低い場合がおおい。

タンパク質との結合

ガラクトースは
アルブミンのカルボキシル基に結合し、
ガラクトシルアルブミンとなる。

ガラクトシルにより修飾を受けた
アルブミンは
卵巣癌を含む
多くの癌の細胞表面上で
過剰発現していることがしられている。

近年、
進んでいるがん治療の一つ
「光免疫療法」では
このガラクトシルアルブミンを利用した
さらなる改良が進んでいる。

photoimmunotherapy.hatenablog.com

光免疫療法を様々なガンへ応用するためには
ポイントは「抗体」です。


ガラクトシルアルブミンは
糖たんぱく質です。
さらに

特異的な受容体に結合します。

β-D-ガラクトース受容体です。


ガン細胞と光吸収剤の
架け橋なるものは
「抗体」が一般的ですが、
今回の研究のように
受容体とリガンドと呼ばれる組み合わせでも可能です。

いずれにしても
多くの種類のガン細胞に
光免疫療法が応用できれば
将来、ガンは
ステージによらず治療可能な病気となるはずです。